『新サクラ大戦』(2019年、PS4)を検索すると「ひどい」「酷評」という言葉が並びます。一方で公式ストアの星評価は高く、初週は14万本を売っています。どちらが実態なのでしょうか。
結論から書くと、評価は「二極化」しています。ファミ通のクロスレビューは33点(ゴールド殿堂)、PlayStation Storeの星評価は5点満点で4.56ですが、価格.comの満足度は2.85、4Gamerの読者レビューは100点満点で43点です。批判の中心は戦闘の手応えのなさとボリュームで、旧作ファンにはそれに旧キャラクターの扱いが加わります。
この記事では、数字で見える評価、売上、メディアとユーザーが挙げた批判点と評価点、そして開発陣が「なぜそう作ったか」を語った発言を並べます。買うかどうかを決める材料として使ってください。(2026年9月23日時点の公開情報にもとづきます)
数字で見る『新サクラ大戦』の評価
評価の数字を出典ごとに並べます。同じ作品でここまで差が出るのが、この作品の特徴です。
| 指標 | 値 | 備考 |
|---|---|---|
| ファミ通クロスレビュー | 33点/40点(9・8・8・8) | ゴールド殿堂入り(2019年12月) |
| ファミ通.com ユーザーレビュー | 8.2/10 | 2026年9月23日閲覧 |
| PlayStation Store(新価格版) | ★4.56/5(3,843件) | 2026年9月23日閲覧 |
| Metacritic(海外レビュー集計) | メタスコア73(62件)/ユーザー7.7 | 2026年9月23日閲覧 |
| 価格.com 満足度 | 2.85/5(23件) | ゲームバランス2.43・コスパ2.37・サウンド4.31 |
| 4Gamer 読者レビュー | 43点/100点(6件) | 2026年9月23日閲覧 |
読み方は次のとおりです。買った人の多くが集まる公式ストアでは高評価、批判を書きに来る人が集まるレビューサイトでは低評価。ゲームメディアの点数は中間から上です。「ひどい」と検索する人の多くは後者を見ていて、それは全体の一部の声ではあるものの、内容は具体的です。
売上|初週14万本、年間16万本
- 初週(2019年12月9日〜15日): 140,376本で初登場2位(1位は『ポケットモンスター ソード・シールド』)
- 2019年の年間: 161,288本で32位(12月29日までの集計)
- 2020年12月: 発売1年で「新価格版」(3,600円+税)を発売
- 2021年: 派生のスマホゲーム『サクラ革命』が配信開始から約7か月で終了
セガの決算資料には『新サクラ大戦』を個別に評価した記述はなく、「計画未達」と明言した資料も見つかりません。ただ、発売1年での値下げ版と、派生作の早期終了が続いた事実は残っています。この結果がシリーズの次の判断にどう影響しているかは旧作が移植されない理由の記事で触れています。
『新サクラ大戦』が出るまでシリーズが約14年止まっていた経緯は、サクラ大戦はなぜ終わったのかの記事にまとめました。
酷評の理由|メディアとユーザーが挙げた5点
1. 戦闘が単調で、ロックオンがない
最も多い批判です。シリーズは4作目までシミュレーションでしたが、本作はアクションに変わりました。電撃PlayStationのレビューは「ロックオンがないので、正確にターゲットを狙いにくい」と指摘し、IGN JAPANは「バトルパートは単調で難易度が低すぎる」としてアクション目当ての人には勧めていません。4Gamerの読者レビューには「相手が強かったことは一度もない」「ボタンコンフィグすら無い」という声があります。
2. ボリューム不足とセーブの不便
4Gamerの読者レビューでは「過去作と比較して全体的にボリューム不足」、ラスボスが過去作の2体から1体になった点などが挙げられています。セーブが章の区切りでしかできず、約2時間セーブできない場面があることも不満点として挙げられています。
3. フルボイスではない
メインの会話にボイスがない場面があり、GAME Watchのレビューも「ボイスの無いイベントシーンは、初めのうちは少し違和感を覚えた」と書いています。
4. 旧作キャラクターの扱い
旧作の帝都・巴里・紐育の華撃団は、作中の10年前に起きた「降魔大戦」で敵を封印し、自らも幻都に封じられたという設定で、本編には戻ってきません。登場するのは大帝国劇場の支配人になった神崎すみれだけで、大神一郎は出てきません。「旧作キャラの扱いが悪い」という不満はここから来ています。
5. 話の運びが唐突
「シナリオの唐突さ」を挙げる声は匿名の掲示板や知恵袋に散見されます。メディアのレビューではファミ通が「チュートリアル不足」「クリア後の難度上昇」を挙げていて、説明の少なさが一部の不満につながっているようです。
評価された点|キャラクターデザイン・音楽・LIPS
- キャラクターデザイン: 『BLEACH』の久保帯人氏。ファミ通は「みんなカワイイ」と評価。価格.comの読者レビューには、従来の藤島康介氏の絵が良かったという声もありますが、20〜30代を狙う起用として賛否が分かれました
- 音楽: 田中公平氏が続投し、主題歌「檄!帝国華撃団〈新章〉」は旧作のリミックスから始まります。価格.comでもサウンドだけは4.31と高い
- LIPS(時間制限つき選択肢): 継続され、選択肢の面白さと頻度はメディアが評価。声の大きさだけでなく距離でも使う「アナログLIPS」が追加
- アニメ風の演出: 次回予告や3Dモデルの演技は、GAME Watchとファミ通が評価
つまり「キャラクターとの会話や雰囲気は良い、戦闘とボリュームが弱い」というのが、メディアとユーザーに共通した見方です。海外の集計サイトでも「会話とメロドラマは良い、戦闘は凡庸」という評が主流でした。
旧作ファンが引っかかる点と、開発陣の意図
旧作を遊んだ人が違和感を持ちやすい点と、それについて開発側が語ったことを対で並べます。
| 引っかかる点 | 事実 | 開発陣の説明 |
|---|---|---|
| 戦闘がシミュレーションではない | アクションに変更。機体は新型の「無限」 | 片野徹プロデューサー「今の時代の主流はアクションゲームだろうと考えた」。大坪鉄弥ディレクター「シミュレーションの戦闘は参入障壁を上げる要因だった」 |
| 旧花組がいない | 降魔大戦で幻都に封印された設定。すみれのみ登場 | 大坪氏「月日が流れた同じ世界観で、新しい花組を描くのが大事」「すみれが支配人というのは我々の中でもハマっている」 |
| 「6」ではなく「新」 | 10年以上の空白・スタッフ一新・PS4移行をリブートとして扱う | 寺田貴治氏「いい形でガラリと変えないといけない」「どこかに継承している要素がほしかった」→ 天宮さくらが旧式の「三式光武」に乗る |
| キャラクターデザインの交代 | 藤島康介氏・松原秀典氏から久保帯人氏へ | 寺田氏「和装と刀の組み合わせで真っ先に思い浮かんだのが久保先生」 |
| 夜叉の正体 | 真宮寺さくらに酷似する降魔だが、本人ではなく傀儡 | 横山智佐氏が声を担当。役を2度断ったうえで台詞の口調を変える提案をして受けたと本人が語っている |
| 歌謡ショウがない | 広井王子氏時代の歌謡ショウは2006年に終了。舞台は『新サクラ大戦 the Stage』(2020年〜、2026年に最新作) | 広井氏は「セガから注文がなければ動かない」(2024年) |
もう1つ、押さえておきたい発言があります。当時セガゲームスの取締役だった名越稔洋氏は2019年11月に「既存ファンに向けただけの作品になると、セールスもある程度は見えてしまう」と述べ、壊す部分をどこまで許容できるかを模索し「壊せないならば制作に反対だった」と語っています。旧作からの断絶は事故ではなく、会社として選んだ方針だったということです。
なお「プロデューサーが旧作を『ぶっ壊す』と言った」という話が広まっていますが、「お前の夢をぶっ壊す」は作中の上海華撃団隊長の台詞です。開発陣の発言としては上の名越氏のコメントが原典にあたります。
今から買う価値はあるか
2026年9月時点の状況で整理します。
- 値段: PlayStation Storeの新価格版は3,960円で、10月7日までセールで1,980円。中古のパッケージ版も数百円からあります
- 機種: PS4用。PS5では後方互換で動作します
- 旧作を知らない人: 会話とキャラクターを楽しむ作品として、メディア評価は中の上です。戦闘に手応えを求める人には向きません
- 旧作ファン: 旧花組は戻らないことを知ったうえで、すみれと「三式光武」のような継承要素を探す遊び方になります
旧作から順に追いたい人はシリーズの順番の記事を、旧作をどの機種で遊べるかは今から遊ぶ方法の記事を見てください。
新サクラ大戦の評価に関するよくある質問
本当に「ひどい」の?
数字で見ると、公式ストアの星は4.56、ファミ通は33点で、ゲームとして破綻しているわけではありません。「ひどい」と言われるのは戦闘の単調さ・ボリューム・旧キャラの扱いという具体的な理由があり、その点を重く見る人には当てはまります。
旧作を知らなくても遊べる?
遊べます。作中では旧作は「10年前の出来事」として語られ、物語は新しい世代で完結します。開発陣も「リブート」として作ったと述べています。
続編は出る?
2020年7月に大坪氏が海外メディア(Twinfinite)のインタビューで「開発チームはシリーズを続けたいし、実現に向けて動いている」という趣旨の回答をしています(SEGAbits の紹介記事による)が、2026年9月時点で続編の発表はありません。30周年で発表されたのは舞台・記念展・グッズです。
まとめ
- 評価は二極化。ファミ通33点・PS Store★4.56に対し、価格.com 2.85・4Gamer読者43点
- 批判の中心は戦闘(ロックオンなし・難度低)とボリューム。旧作ファンはそこに旧花組の不在が加わる
- 評価された点はキャラクターデザイン・音楽・LIPS・演出
- 旧作との断絶は開発陣が意図した「リブート」で、名越氏は「壊せないなら制作に反対だった」と明言
- 2026年9月はセールで1,980円。旧作を知らない人が会話とキャラクターを楽しむ用途なら選択肢に入る
参考リンク
- ファミ通.com 新サクラ大戦 クロスレビュー・ユーザーレビュー
- PlayStation Store 新サクラ大戦 新価格版
- Metacritic Sakura Wars
- 価格.com 新サクラ大戦 レビュー
- 4Gamer 新サクラ大戦 読者レビュー
- ファミ通.com 週間販売ランキング(2019年12月9日〜15日)
- ファミ通.com 2019年 年間販売ランキング
- GAME Watch 新サクラ大戦 レビュー
- 電撃オンライン 新サクラ大戦 レビュー
- ファミ通.com 新サクラ大戦 プレイレビュー
- GAME Watch 片野徹氏・大坪鉄弥氏インタビュー(2019年9月)
- 4Gamer 片野徹氏・寺田貴治氏インタビュー(2019年12月)
- 電撃オンライン 名越稔洋氏インタビュー(2019年11月)
- Anime Herald 大坪鉄弥氏の発言(2020年7月・英語/Twinfiniteのインタビューを紹介)(旧作は「十分な需要があれば再訪に前向き」の出典)
- SEGAbits 大坪鉄弥氏の発言(2020年7月・英語/Twinfiniteのインタビューを紹介)(続編について「開発チームはシリーズを続けたいし、実現に向けて動いている」の出典)
- Siliconera セガへのインタビュー(2020年7月・英語)
- ファミ通.com 横山智佐氏・富沢美智恵氏対談
- 新サクラ大戦 公式 新価格版のお知らせ

コメント
コメント一覧 (2件)
[…] つまり「今すぐ、新品で、今の機種で」という条件を全部満たすのは『新サクラ大戦』1本です。評価が割れている作品なので、買う前に新サクラ大戦の評価が割れた理由の記事にも目を通してください。旧作から順に遊びたい人は、次の章の入手ルートを見てください。作品の順番そのものはシリーズの順番と年表の記事で整理しています。 […]
[…] もう1つ、推測として押さえておきたいのが『新サクラ大戦』(2019年)の結果です。初週の売上は約14万本で初登場2位、2019年の年間では約16万本でした。一方で評価は割れ、公式ストアの星評価が高い反面、価格比較サイトやゲームメディアの読者評価は低めに出ています。詳しくは新サクラ大戦の評価が割れた理由の記事にまとめました。 […]